しあわせへの助走

生きていて感じたことを気の赴くままに書いていきます

それには名前がなかった。

私は名前がないことを気にして、ヤキモキしていたけれど、相手は名前がないことになんの疑問も躊躇いもなく、むしろ身軽さの象徴のようにして扱った。そんなちぐはぐな状況を私は身を刻むようにして受け入れていった結果、最後に残ったのは呪いだったのかもしれない。間違いなく消えない跡として残された傷を、抱えきれなくて私は今も、うちひしがれている。もう片手では数えられない年月が経った。私もあのときとは状況が違う。そう言い聞かせて、なんともなくやり過ごそうとしたのに、その日が来たとたん見た夢は最悪だった。気がついたら泣きながら目を覚まして、夢を思い出してさらに泣く。気が狂った子供みたいに声をあげて泣く。思い出さない日なんて来るのか?なんて愚問だ。絶対に来ない。