しあわせへの助走

生きていて感じたことを気の赴くままに書いていきます

感想:この世界の片隅に

散々話題になってて、見たくて見たくて仕方なかったのに、チケットがとれずにいたけど、ようやくこの世界の片隅にを見てきたよ。

友達に、コミックス読んでから行った方がいいよ、と言われて読んだのだけど、その時からもう、結構泣かされていた。これは映画で見たら、どれだけ泣くか分からんな、と思って家にある一番分厚いフェイスタオルを持って行った。

私が一番印象に残って、かつ泣いてしまったのは、生活が営まれていた呉に爆弾が落ちたシーンだった。今までは、食べるものに困ったり、徴兵されたりすることで戦争しているという認識は持って見れていたのだけど、空襲で実際に爆弾が落ちてきて(しかもその爆弾がすごくリアルに描かれていて)街を破壊していく。街の破壊と、逃げ惑う人。私は東日本大震災を思い出した。懸命に生きている人たちをあざ笑うかのように街が壊されていく。勿論、細かい相違点はあるのだけれど、日常生活からの切断という意味では一緒だと思った。自分の意志とは関係のないところで、急に世界が変わってしまう。そして、それが人為的に行われたことも、本当に起きたことだから余計に怖いと思った。もしかしたら、私たちの明日もそうやって急に終わりが来る可能性もあるのではないかと思った。他にもショッキングなシーンはあったけれど、ここほどつらくぞっとするシーンはないと思った。

勿論、どちらがつらいという話ではなくて、戦争と震災それぞれ辛くて悲しい出来事なのだ。

 だから、なんだか、この映画は好きとは言い切れなくて、でも強烈に忘れられなくて、時折思い出すのだろうな、と思う。

映画の中で、右手を無くしてしまったことで絵が描けなくなったことを絶望するシーンがあったけれど、あの気持ちを、偶然にも、わたしも絵を描くことが生きがいだった時に、想像したことがあって、そのシーンでかなり感情移入してしまって、本当に辛かった。わたしには、とてもその後の人生をすずさんのように生きられないと思った。

 

この映画は、重い題材を、チラチラとひかる星のような明るさで、まとめ上げていた。内容も、見ていくとしんどいところがたくさんあったんだけど、辛くても直視していかないといけない、と感じるところも多くて、照らすほど強い光ではないかもしれないけど、指針となって導いてくれるようだと思った。